相掛かりの新常識 (マイナビ将棋BOOKS)

相掛かりの新常識 (マイナビ将棋BOOKS) の詳細

2012年。相掛りの名著『よく分かる相掛り』には冒頭こう書いてある。『相掛りの将棋は、２六歩８四歩の出だしから、互いに飛車先の歩を伸ばし、２四歩から飛車先の歩を交換するところから始まります。』2018年。山崎VS青嶋のNHK杯戦を見ただろうか？先手は飛車先の歩を一個も突かずに３七銀！解説の戸辺さんは呆然！いったい６年間に何があったんだーーー！ってことを書いてある本です。まず昭和なおっちゃんと対局すると先手は飛車先交換後、２六飛と浮き飛車にします。これは過去に先手必勝といわれたヒネリ飛車を含みにするためです。ヒネリ飛車がなぜ廃れたかは羽生さんの『羽生の頭脳８最新のヒネリ飛車』を見ましょう。運が良ければ中古本の店で50円で売ってます。本書は、先手が飛車を２八飛と深く引くところから始まります。つまり対戦相手が浮き飛車ばかりって人は、本書は無駄です。前著の『よく分かる相掛り』を買いましょう。序章では、後手がなぜ飛車先の歩の交換を遅らせるのか分かります。先手が棒銀なら８四飛、先手が腰掛銀なら８ニ飛、後手から端攻めがあれば８五飛と３種類の引き場所を使い分けるためです。その理由が詳しく書いてます。しかし、プロで指しやすい程度の局面までの解説なのでこれ見て勝ちまくれるって類の本ではありません。ちなみにP41結果図はやや後手持ちと書いてますが、激指し14では逆に先手＋70（Pro+5で）です。そのくらい微妙な局面ってことです。さて後手が飛車先交換を遅らせるなら先手も、ってことで飛車先交換の前に、先に３八銀とするのが、第一章。３八銀に続いて、さらに９六歩と飛車先交換を遅らせるのが第二章。３八銀に続いて、さらに５八玉と飛車先交換を遅らせるのが第三章。３八銀に続いて、さらに６八玉と飛車先交換を遅らせるのが第四章。第五章は、横歩取り模様から先手が横歩を取らなかった場合となります。ずっと、分岐が多く、ほとんど微妙な局面で終わってます。なので、プロの将棋を見て、『俺はその手の裏の意味を知ってるぜ！』とほくそ笑む、むっつりさん（死語？）が向いている本でしょうか？？勝率を上げたい人は、コスパが悪いと思います。序章が良かったのでおまけして星４つです。