歴史群像 2015年 12 月号 [雑誌]

歴史群像 2015年 12 月号 [雑誌] の詳細

第一特集は独ソ戦の1941年冬から1942年の冬にかけて、独ソ戦はじまって初の冬からスターリングラードの包囲戦まであたりをソ連側の視点で描く。独ソ戦好きには多数の部隊が動く戦況図ひとつでも楽しめるような内容。第二特集は戦争末期「紫電改」装備の精鋭部隊として編成された「三四三海軍航空隊」。航空隊司令は真珠湾攻撃時に攻撃隊を指揮した源田実。各戦隊の指揮官には海軍内のエース級パイロット達が招聘されたという。末期に生産された「紫電改」のほとんどがこの部隊に配備したといった数々のエピソードもあいまって、燃える要素満載の伝説の部隊がとりあげられた。個人的には上記2本の記事よりも以下の記事がとりあげられるテーマも珍しく、また読み応えがありおもしろかった。「南北朝九州軍記」は、鎌倉末期から室町初期の南北朝時代の九州の様相を描く。南北朝というと足利尊氏と対する南朝側諸将との戦いがまず思い浮かぶが、中央から遠く九州においても地元の諸将が、鎌倉方、北朝方、南朝方とめまぐるしく勢力図を変えながら戦いと続けていた。特に鎌倉幕府ありし頃から一貫して南朝方(後醍醐天皇）を支持し続ける菊池氏、さらに八面六臂の活躍を見せる菊池武光などもっと知られてよい武将ではないかと思った。「八路軍vs日本陸軍」は、共産党配下の軍であった八路軍と日本陸軍の治安警備部隊との戦いの変遷を描く。先の中国での軍事パレードでは、共産党軍の戦勝国軍としての正当性の問題が指摘されていた。また（見たことはないが）中国で数多く作られているという「抗日映画・ドラマ」はこの八路軍と日本軍との戦いがテーマとして取り上げられているのではないかと推測される。また、”残虐な日本軍”の代名詞的な「三光作戦」などなど間接的にはホットなテーマといえるのではないか。最後に、戦場経験者のインタビュでは海軍の主計士官だった方がとりあげられる。給糧艦「間宮」のくだりがおもしろかった。